サロマ湖
サロマ砂嘴・・・
そういう呼び方があるかどうか知りませんが、私にはそうしか呼べません。
昔は三里番屋と呼ばれた砂嘴で、誰かが独り旅をしていたら、オホーツク海から吹きあげる風に削られて、目的地につかないうちに、一本の枯木になってしまいそうになります。
果てしなく冷たい北の海のひろまりと、もう一つの海のようなサロマ湖とを境している、糸のように細い砂嘴を、地図の上で見るだけでも、誰でもがそう思うでしょう。
私たちは旅をするとき、5万分の1の地図を手引きにするのが常識です。
私はある秋の日、大阪から来た友人と、この化石になりそうな風景の中を歩いてみようと、地図をみて三里番屋という地名に誘惑を感じました。
そこに行くにはサロマ湖の西の湧別から、今にも消えそうな細道の記号があります。
その道はたしかに廃道に近く、人の背丈の三倍もある葦や蒲の茂みに隠れ、ハマナスの実が紅くみのる砂丘をめぐっていました。
それでも何とか道形はさぐれました。
かつて北見内陸の開拓を目差した人々が、蒸汽船で網走に上陸し、布団や鍋釜を背負い、幼児の手を曳いて、この道を唯一のたよりに風に吹かれながら、北へ北へと重い足をはこんだ、その足跡で踏みかためられた道です。
札幌ツアーもいいものですが、最近は北海道の隅々を知りたくていろいろな土地に行っています。